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エイベックス 新社屋のすべて

interior producers’ interview

空間デザインのキーワードは、
「人に自慢したくなるオフィス」
でした

働きやすいだけでなく、働いていることが楽しくなるオフィスにしてほしい――。そんな依頼に応えたのが、数々の人気店等をプロデュースするトランジットジェネラルオフィス(以下、TGO)。「これが本社ビル!?」と驚かされる空間デザインについて、同社代表の中村貞裕さんとプロデュースチームのみなさんに解説していただきました。

渡邊吉晃 株式会社トランジットジェネラルオフィス
プロデュース事業本部 ディレクター

甲斐政博 株式会社トランジットジェネラルオフィス
プロデュース事業本部 プロデューサー

平野晴香 株式会社トランジットジェネラルオフィス
プロデュース事業本部

中村貞裕 株式会社トランジットジェネラルオフィス
代表取締役社長

青山の人気店と比べても遜色ない
社員食堂のデザイン。

── 今回のプロデュースにあたって、まずみなさんが意識したことは?
中村:働き方についてさまざまな議論が起こっている中で、いかに“ポジティブなワーカホリック”でいられるかが大切だと私は考えています。オフィスは人生でもっとも長い時間を過ごす場所であり、そこで働いていることが楽しいと思える空間でなければならない。だからエイベックスの依頼にはとても共感できました。これは要するに、会社も一つの“遊び場”にするということだと思うんです。
 TGOが力を入れてきた事業にシェアオフィスがあります。新社屋のコンセプトの一つでもありますが、やはり今の時代の大きなキーワードは“シェア”です。開かれていることが重要で、年齢や役職を横断するようなコミュニケーションから新しいものが生まれていく。その感覚をうまく表現できたら、これまでになかったオフィスになると思い、プロジェクトに参加させていただきました。
── 特に17階の社員食堂は、TGOが手がけてきた人気の飲食店と比べても遜色のない完成度で驚きました。

アメリカ西海岸をイメージした「THE CANTEEN」

開放的な空間の社員食堂

甲斐:ここは僕らの得意分野ということもあり、特に振り切りました。話題の施設をいくつも手がけているJamo associates に内装を担当してもらい、「Lodge by The Sea」をテーマに、アメリカ西海岸の海辺にあるレコーディングスタジオにクリエイターたちが集まってくるような空気感をデザインで演出しています。インテリアには全体的にウッド素材を多く用い、あえて屋外で使っているような家具を配置することで、海外のような開放感のあるデザインになっています。アートワークや店員のユニフォームにもこだわっていて、外から来た人が思わず写真を撮ってSNSに投稿したくなるような、フォトジェニックな演出を仕掛けました。
平野:フロア内は食堂(THE CANTEEN)とコーヒースタンド(POP-IN)に分かれています。トランジットオリジナルブレンドコーヒーや、海外の人気店でも使われている生絞りのオレンジジュースマシンを導入したりと、一般的な社員食堂より高いクオリティのカフェメニューを提案しました。
甲斐:僕らが普段手がけている飲食店との区別はありません。社員食堂という既成概念に囚われず、自分たちも客として行きたくなるような空間をつくりました。

東京のクリエイティヴの中心地に
面白いオフィスビルがある意義。

──それに対して2階のコワーキングスペース(avex EYE)は、食堂とは違って、未来感のあるデザインが印象的です。
甲斐:ここは執務フロアやロビーよりも尖ったデザインになっています。スタートアップ企業の方々が入居したり、イベントスペースにもなったりするということなので、外部の人が来たときに、エイベックスの社員のみなさんが自慢できるような空間にしたいと考えたからです。
平野:DAIKEI MILLSによる内装と、CEKAIによるグラフィックとアートの親和性が高く、空間全体を使って、オリジナリティに富んだグラフィカルな表現に挑戦できました。
甲斐:それは3階の会議室(THE SESSION)も同様ですね。社内外の人がセッションするためのプラットフォームとして、気分が上がって議論も盛り上がるようなデザインにしたいと思いました。
── 取材時には建設途中でしたが、4階のレッスンスタジオや5階のレコーディングスタジオはどんなコンセプトに?
甲斐:レッスンスタジオは選抜されたアーティストの卵がレッスンを受ける場所ということで、デザインも、ビル内でもっとも“遊び”の要素が強くなる予定です。若い人たちがその空間にいるだけでも刺激を受けたり、マネジメントの社員のみなさんが思わず様子を見に立ち寄りたくなるような、クリエイティヴィティあふれるスペースにしていきたいと思っています。

中村 貞裕 氏

働いている人が刺激を受ける空間を目指したコワーキングスペースは、会議室も「Jump」や「Kick」と名付けられ、蛍光管でつくられたサインボードが掲げられている。

渡邊:レッスンスタジオについては、デザインする上での機能的な制約がかなりあります。しかし、アーティストと社員のつながりを生み出す役割を持つ、今回の新社屋の非常に重要なスペースなので、どう具体的にデザインに落とし込んでいくかは、これからの腕の見せ所です。
中村:食堂にせよ、コワーキングスペースにせよ、スタジオにせよ、ここまで僕らに自由にやらせてくれる大企業はとても珍しいです。それだけに期待に応えようと思いましたし、やりがいもあります。青山という東京のクリエイティヴの中心地に、これだけ面白いビルがある。そこにエイベックスという企業のパワーを感じますし、ここから東京全体を盛り上げていってほしいですね。何より僕らのオフィスがすぐ近所なので、普通に遊びに行きたいと思っています(笑)。

中村貞裕 sadahiro nakamura 株式会社トランジットジェネラルオフィス
代表取締役社長

1971年東京生まれ。伊勢丹を経て2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。レストランやアパレルブランドとのカフェを約90店舗運営。シェアオフィスや商業施設のプロデュースなど、話題のスポットを手がける。